第294号 3月24日

ありがとう、子どもたち。ありがとう、保護者の皆様。ありがとう、地域の皆さん。そしてありがとう、大野小学校。

 三月は別れの季節。明日は子どもたちと過ごす最後の日となります。学校通信やPTAの送別会に自分の名前が載っていると、今更ながら転勤なんだなあという実感がほんの少しずつですがわいてきます。
 教員にとって、宿命でもある人事異動。私は、この度の異動で、4月からせたな町立若松小学校勤務を命じられました。大野小学校で過ごした3年間はとっても充実した毎日でした。最初の一年は、五年生、六年生の理科専科でしたので、子どもたちに理科の楽しさを語りました。そして先生方にお願いして全学年のコンピュータ指導をさせていただきました。
 そして去年、今年と、ぴっかぴかの一年生を担任させていただき、今二年生を終えるまで、何とか指導をすることができました。
 二十年ぶり近くの一年生担任、隣のクラスは超ベテランの先生という状況の中、かなりのプレッシャーの中でのスタートでしたが、何とかやってこれたのも、子どもたちがすばらしかったこと、そして、保護者の皆さんが温かい目で見守ってくれたことがとても大きかったことがあります。教員をやって二十六年になりますが、きっと一番思い出に残る二年間でないかと思います。学級通信をこんなにたくさん書いたことは初めてです。見方によっては馬鹿げたことなのかもしれませんが、私にとっては、自分を振り返る時間であり、「こんなに子どもたちは成長しているんですよ。すばらしいんですよ。」っていうことを保護者に伝えたいという気持ちでした。書いても書いても、まだまだネタがある毎日っていうのは実に充実していました。
 私は指導する中で、いつもこの子達が大人になった時に生きてくる教育をしたいなあって思っていました。「学校でやったことを忘れてしまった時に残っているものが本当の教育である。」みたいなことを聞いたことがあります。小学校一年生、二年生の時の事は、大きくなったら、ほとんど忘れてしまうでしょう。記憶に残るのは担任が佐々木という名前だったことぐらいかもしれません。でも子どもたちが大人になった時、困っている人に自分から勇気を持って声をかける、
自分から、元気に挨拶をする、辛くてもやらなければならないことは最後までやる。そして、お父さん、お母さんがいつかおじいちゃん、おばあちゃんになった時、きちんと親孝行をしてあげるなど、私の教えがどこかに生き続けてくれればいいなあと思っています。
 子どもたちに渡すひばり別冊に二十歳の自分への手紙があります。子どもたちが成人する十二年後は、私も卒業。大人になってたくましくなった子どもたちと再会してみたいなあと思います。
 さて、私が四月から勤める学校は海岸から少し山に入った農村地域と聞いています。全校で十数名の小さな学校です。大野を離れるのはつらいのですが、夫婦二人で、レノンと散歩しながら地域の方と仲良くし、また、地域と連携した学校にするためがんばっていきたいと思います。是非応援してください。
 最後に、子どもたちは学級編成の上、新しい仲間と新しい先生と過ごすことになります。どんな仲間か、どんな先生か、とても気になるところではありましょうが、全て出会いはチャンスと思い、新しい出会いで、新しい仲間から、新しい保護者の仲間から、そして新しい担任の先生から、多くのことを学び、すばらしい大野小学校であり続けるよう、ご協力をお願いします。