第288号 3月19日
第130回の卒業式
春らしい天候のもと、大野小学校第130回卒業式が行われました。一年生、二年生は残念ながら、参加できませんので、その様子をお話しましょう。
今年から会場を少し変えました。今まではステージに向かって、一番前が卒業生、在校生、そして保護者の皆さんという順でしたが、できるだけお子さんの表情を見てほしいということから、今まで教職員や来賓が座っていた卒業生の両サイドを保護者席にし、内側向きにし、卒業生の横顔が見えるようにしました。
卒業式では、五年生児童の司会のもと、粛々と行われました。在校生もとても行儀がよく、呼びかけや六年生のお別れの言葉もとても感動的でした。
校長先生の式辞では、「当たり前のことを当たり前にすること」、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」というお話がありました。
さて、今日の卒業式にはこの後、大きな感動が待っていました。実は卒業生の一人が式が始まって間もなく、体調を崩して、会場を出ました。会場にいた誰もが、卒業証書の授与の時に間に合わうか心配していました。しかしながら、体調の回復が思わしくないようで間に合いませんでした。最後のところで、その子は、式場に戻ってきて、みんなと一緒に退場していきました。
一生に一度の小学校の卒業式。どうしたらいいのだろう、どうなるのだろうと誰もが思っていました。
卒業生が退場、そして、来賓、保護者が退場、そして、在校生が退場。会場に残った我々教職員もちょっと複雑な気持ちでした。すると、そのクラスの子どもたちが全員戻ってきました。そのクラスの保護者の皆さんも戻ってきました。
椅子を中央に並べて、卒業生が中央に座り、保護者も席に座り、卒業証書授与式が行われました。校長先生が、再び登壇し、担任の先生の「卒業証書を受ける者。○○○○。」と言ったところで、誰もが胸にぐっとくる感動を覚えました。卒業証書をその子がもらった時、会場に大きな拍手が巻き起こりました。
校長が式辞でお話されて「みんなは一人のために」っていうのは、まさにこういうことなのだなあと私は、BGMを流しながら思っていました。その後の最後の学活は、体育館でそのまま行われました。式の仕事を終えた先生方は、心があったまったまま、式場を後にしました。
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」いくら説明するよりも、会場にいた子どもたちはこの意味をしっかりと心に刻んだことだと思います。
卒業式で体調を崩してしまった最悪と思われる経験も、担任の先生の粋な計らいで、子どもたちの暖かい心で人生のすばらしい一ページに刻まれたんだなあと思いました。
とってもいい卒業式でした。