第286号 3月17日

 お下がりのランドセル

 私、最近まで気づきませんでした。W君のランドセルが歴史が刻まれているものだということを。
 聞いてみると、やはりお兄ちゃんのお下がりのランドセルだということです。私は、W君も偉いし、ご両親もすばらしいなあと思いました。
 上のお子さんが小学校を卒業してから下のお子さんが入学ということはそんなに多くないのかもしれませんが、そのランドセルを兄弟二人に使わせるというご両親の気持ちがとてもすてきだと思いました。
 私には弟がいます。十歳年下でした。でも、弟は新しいランドセルを買ってもらっていました。それが、我が家では当たり前の感覚だったのかもしれません。私の使ったのが、壊れているとか、破れているとかではないのですが。
 もし、私がお下がりのランドセルで小学校に行くことになったとしたら、「こんなのじゃ、学校に行かない。」って泣いてだだをこねたんじゃないかなあと思います。
 昨今、大野小学校では、四年生あたりから、ランドセルとお別れして、手提げなり、ショルダーなりと勉強道具を入れる物をかえてくる風潮があります。物理的に体の大きさが合わなくて、ランドセルを背負うことが無理だと判断されるケースもあることから、学校では、ランドセルを努力目標程度にしています。でも、子どもたちの気持ちの中には、ファッション的な要素も多分に含まれているというのも現状だと私は思います。
 ランドセルには、少なくても六年は補償がついていると思います。六年持たないで壊れたら無料で直してくれるはずです。それだけ、長持ちするように作られています。
 できるならば、子どもたちには、せっかくご両親なり、祖父母が、子どもの健やかなる成長を願って与えたのですから、少なくても六年間はランドセルを使ってほしいなあと思います。
 そして、十二年間使われるW君のランドセルは世界一幸せなランドセルではないかなあと思います。
 リサイクル、物の大切さを考え直そうという地球環境保護の精神が今、あちらこちらで叫ばれ、実践されています。
 W君においては、大きくなっても、自分の体験から、物は大切にすること、使えるものは最後まで使うということを自分から実践し、いつか親になっても自分の子どもに自信を持って、ランドセルのことを話せる時が来るのではないかと思いました。