第203号 12月3日

 全編を語りとげたH君

 かさこじぞうの語りもだんだん感情がこもり、感動が伝わるものとなってきました。子どもたちはこの週末で、一回から多い子で15回位まで、家で読み込んできました。
 そんな中、今日の授業ではH君が最初から最後まで、10ページを語ってくれました。みんなの前で、何も見ることもなく。最後まで語り終わると、クラスのみんなから大きな拍手がわきました。
 これだけの量をきちんと覚えるのは一朝一夕にはできるものではありません。何回も何回もお母さんや妹さんを相手に練習に励んだ結果に他なりません。
 今日のH君の発表で、後に続こうという子どもたちの目も燃えているように感じました。
 参観日の日には、できるだけ多くの子どもたちの語りを聞いてもらう予定です。

演じること

 最近、また子どもたちの動きがよくて、給食を下げに行って戻ってくると給食台をはじめ、掃除もほぼ終わっていることが多くなりました。「先生、○○しておいたから。」などと進んで仕事をしてくれることもちょこちょこです。
 私はこのことを「演じる」という観点から考えてみたいと思います。「演じる」とは、つまり本来の自分の行動ではなく、演技をしている自分の行動ということです。
 給食台を例にしてみると、「給食台をきれいにしておくと休み時間が早く始まる。」、「先生が『よく気がついたね。』とほめてくれる。」ということから、普段の自分ではきっとしなかったであろう行動を、「演技」として行動に移したと考えます。演技ですから、まだ、板についた状態にあるとは考えません。
 やがて、そのような良い行いが続き、ほめられる(外発的動機付け)、いい仕事をして気持ちが良くなる(内発的動機付け)で、演技がだんだん自分本来の行動になっていくと考えることができるのではないでしょうか。
 「自分の意志で」とか「気持ちを強く持って」とかよく言われますが、なかなかそう簡単にはいきません。子どもたちに「○○のふりをしてやってごらん。」と最初は演技で行動させ、それが強化を受けることにより、自分の行動に変わってくることってあるんじゃないかなあと思いました。
 私自身も「演技」から始まったかなあと思うことがあります。私は大野小に来て、ほとんどのPTA行事には欠かさず参加しています。最初は、「大野小で必要とされる先生に絶対なるぞ。」と無理をしていたところもありました。でもいろんな活動やミニバレーなどの親睦行事に参加することによって、「そんなの当たり前じゃん。」と思い、諸行事で自分に得られる事も多く、さらに、皆さんと交流して楽しいことでもあり、今では全然無理をしていないって漢字です。
 ご家庭におきまして、保護者の皆様においてもいつも本音の直球ばかりではなく、多少無理してでも、笑顔がいっぱいのお母さんであり、子どもに励ましの言葉をかけるお父さんを演じてみることもお勧めします。たぶん、最初は、歯がゆく、子どもにとっても「しらじらしい」と見抜かれることもあろうかと思いますが、いい父親、母親の演技は子どもにとって、嬉しいに違いありません。
 時には、大人も子どももちょっと無理して演技をして、お互いを成長させていきたいですね。