第201号 12月1日

 「語る」ための読み方

 今日の国語で、「語る」ための読み方はどのようにするかということを指導しました。指導のポイントとしては、前にもお話しましたように「おはゆま(大きく、はっきり、ゆっくり、間を空けて)です。
 私は、挑戦する子どもに次の二行を読ませました。「むかしむかし、あるところに、じいさまとばあさまがありましたと。たいそうびんぼうで、その日その日をやっとくらしておりました。」
 子どもにこの二行を読ませて、その後で、まわりの子どもに批評をさせました。「声が大きいところが良かったと思います。」、「もうちょっとゆっくり読むといいと思います。」「『やっと』のところがとても気持ちがこもっていたと思います。」などなど。そして最後に私が、「あなたの課題は何でしょう。」とこれから気をつけるところを確認して、点数を付けました。百点満点として、60〜70点ぐらいとしました。子どもたちの批評は実に的確だなあと思いました。私の思っていることをほぼ漏らさず伝えてくれました。
 何人かやっているうちに、だんだんよくなってきて、私のつける点数も高くなってきました。
 希望者の挑戦が全部終わった後、私は黒板に今日の二行を書き、次のように聞きました。「一つめの文で、長く伸ばすことができるところはどこですか。」三つ位の答えが出てきましたが、「むかーしむかし」のところです。ここはいくら伸ばしてもおかしく聞こえません。私が、「あーるところに」って読んだら、子どもたちは大笑い。続いての発問。「二つめの文で、気持ちを込めることがしやすいところが二つあります。どこでしょう。」答えは、「たいそう」と「やっと」です。このことを指導したあと、最後の一押しとして、「こんなにゆっくり読んだらおかしいんじゃないかと思う位、ゆっくり読みなさい。間も空けすぎじゃないかと思うくらい空けてごらん。」と言って、この二文をみんなで読みました。体を動かしながら、全身の力を込めて、この二行を読みました。
 今日の宿題として、「かさこじぞうを一回以上読んでくる。」を出しました。子どもたちには「一回読むのに三十分以上かかるよね。」とお話して、それと、「お父さん、お母さんも忙しそうだったら、もうちょっとスピードアップしてもいいけどね。」という話もしました。最初は、「みんなの語りでおうちの人に涙を流させよう。」でしたが、「うちのお母さんなんか絶対泣かない。」という子が多かったのでそれはやめにしました。
 子どもたちには、かさこじぞうの教材では一回読むごとに一つシールを与えています。読めば読むほど、味のでてくる教材です。是非、じっくり耳を傾けてあげて下さい。

 かける数とかけられる数

 算数の問題にこんなのがありました。「みかんの入ったふくろが7ふくろあります。一つのふくろには、みかんが9こずつ入っているそうです。みかんはぜんぶでなんこありますか。」
式は7×9でしょうか。9×7でしょうか。もちろんよく読むと一つ分の大きさは一袋に9こずつ、いくつ分は7ふくろ分ということになり。9×7となります。子どもたちがなぜ間違うか、そしてなぜ7×9でも○がついてくるかというとその予測は容易です。一つはかけ算の問題だと問題を読む前から予想がついていること、そして、もう一つが7という数字が先に出ていることです。私も9の段の問題なのになぜ7×ってあるんだろうというところで初めて気づいたんですから問題をよく読んでいない部類に入るのですが、子どもたちには、「よく問題を見ること、最初の数字×あとの数字っていうそんな単純にはいかないよ。」ということをしっかり指導していきたいと思います。この手の指導は面倒くさいですが、「絵を書いてご覧。」が一番わかりやすい方法です。