第169号 10月24日
辛いことの後には楽しいことが必ずあります
新聞を見たら、七重浜の踏切で若い女性が踏切でうずくまり貨物列車に轢かれて亡くなったという痛ましい事故がありました。どんな事情があったかは、うかがい知ることはできませんが、たった2歳3の若さで、この世と決別しようと思ったのは、実にやるせない思いがします。これから恋をして、結婚して、子どもを育てて、泣いたり喜んだり、そして子どもを育てて、自分の時間がたっぷりできたら、自分の好きなことに時間を使って、と未来には輝くことがいっぱいだったはずです。
統計を調べてみました。日本では、ここ十年間で一年間に三万人強、一日に90人。約16分に一人が命を絶っている計算になります。これは交通事故で亡くなる方の約5倍の数となります。原因としては、健康問題、経済問題、家庭問題、仕事の問題、男女問題と続いています。自殺は死亡原因の第6位になっており、先進国の数字でみると自殺率はロシアに続く世界第二位で、アメリカの2倍の数となっています。
WHO(世界保健機構)は自殺は「追い詰められた末の死」であり、「避けることの出来る死」とし、自殺予防の取り組みを求めています。
子どもの自殺も大きな社会問題となっています。子どもの自殺の特徴は何の前触れもなく突然命を絶ってしまうことがあります。理性が十分育っていないことや、苦しい、悲しいの感情でストレートに心がいっぱいになってしまうことが考えられます。大人の自殺に比べて、感情的になったまま衝動的に行動に出てしまうようです。
万が一にも、子どもがこのような行動を取ることのないように、大人は子どもを守っていかなければなりません。そのためには、日頃から子どもに共感して、寂しさを与えないことです。昨日の携帯電話の話ではないですが、「お父さん、お母さん、僕のこと見てよ。」とお子さんが心の叫びを感じていないか、ふだんの生活を振り返ってみることも大切です。仕事の忙しさを理由に子どもへの対応がおざなりになっていることはないでしょうか。
子どもの目をみて、説教をする前に、子どもの話をじっくりと聞いて、うれしさ、悲しさ、悔しさ、寂しさにまず、共感することを大切にしていただければと思います。子どもは学校や学校外で様々な失敗をします。友だちとけんかしてけがをさせても、近所のガラスを割っても、最後には親が守ってくれるという安心感を子どもが持てるように接していきましょう。
そして、何よりも「心が強い子」に育てるために、様々なことにチャレンジさせて、競争すること、成功すること、失敗することなどを経験させていくことが大切です。
保護者の皆様も社会の中で長く生活していますから、死を考えないまでも、食事も喉を通らない位落ち込んだことも一度や二度ではないと思います。私も、多くの子どもたち、そして様々な考えを持つ親御さんたちと接して、「教師なんて辞めてしまえ。」と思ったこともあります。それでも、いやなことがあったら、その次には必ず楽しいこともあります。今はおかげさまで、毎日学校へ行くのがとても楽しみに思っています。子どもたちにも失敗して落ち込んでいる時にはよく、「悪いことがあったら、次は必ずいいことがあるからさ。がんばろう。」って声をかけています。
「悩みは人に話せば、半分になる。幸せは人に話せば二倍になる。」という言葉が私は好きです。
今、子どもたちの悩みを一番に受止めてあげられるのは、お父さん、お母さんの皆さんです。
どうぞ、一日一度、じっくりお子さんと目を合わせて、お話をする時間をつくることを大切に、子育てを楽しんでいただけばと思います。