第165号 10月22日
学習発表会ご声援ありがとうございました。
十九日に行われました学習発表会では、ご多用のところにもかかわらず、子どもたちの成長の様子をご観覧・ご声援にご来校いただきましたことに、深く感謝申し上げます。
子どもたちは、この日のために、毎日努力を続けてきました。全体としては、うまくいったところも、そうでないところもあり、ご批判をちょうだいしているところではありますが、私の目で子どもたち一人一人を見ていると、「ただやればいい」ではなく、それぞれ全ての子が「ここはがんばろう」という目標を持って、練習に励んでいたことをお伝えしたいと思います。
水曜日には、感想を兼ねて作文を書いてもらい、またそれを文集にして、子どもたちと保護者の皆様と感動を分かち合い、思い出の一ページとしていきたいと思います。
Sさんのピアノ
それぞれがそれぞれの学習発表会のがんばりを見せてくれましたが、一つエピソードを紹介しましょう。
学習発表会のピアノの候補を決めたのは、1学期の終わり頃でした。
一組、二組から数人ずつ集まって、音楽室で希望する楽譜をもらい、夏休みに練習することになっていました。一組の子には辞退する子もいて、Sさんが残り、ちょこっと演奏(汽車は走る、おまつりワッショイ、かえるの合唱、こぎつね)を担当することになりました。私も二学期が始まったら練習状況をきちっと把握しておけば良かったのですが、練習が始まった時点では、右手のみでした。
「あらまあ、どうしましょう。」と思いましたが、一ヶ月弱あるので、何とか弾けるように練習をつけることにしました。といっても、「ト音記号でない記号の「ド」はどこだったっけ?」と音楽の先生に聞きながら、ドレミを書きながらの指導です。また、伴奏も、ドミソ、レファラ、シレソの和音か、単音なので、慣れれば弾けるのかなあなどと期待を持って特訓の開始です。一回目はかえるの合唱から始めました。多少できる子だったら、一度も練習していなくてもできるレベルかもしれませんが、一小節ずつ教えて、できたらほめてあげて、ようやく4小節で、一日終わりという感じで放課後の特訓をしました。
他の子に頼むのは簡単かもしれませんが、そこはじっとがまんして、最後までやらせようと私は腹を決めていました。本番二週間ぐらい前になって、どの曲も何とかかんとか最後まで流れるようになりました。全体練習の時、指揮を見ながら弾くまでにはならなかったので、そばにいて指揮者のリズムを伝えていました。
お母さんに聞くと、家でもかなり練習したとのことです。事実、私が教えてやっとつっかかりつっかかり弾いていたものが、次の日には、なめらからに弾かさっていました。
なかなかドキドキが表情に出ない子ですが、きっとかなり緊張しているんだろうなあと思いながら、本番を迎えました。当日は、実に堂々と、立派に役を務めてくれ、終わった時とてもいい顔をしていました。
本来学習発表会の練習は学校の勉強ですから、持ち帰りをしないのが原則なのかもしれません。そういう中、Sさんのピアノを始め、担任の指導不足を多くの家庭で助けていただき、子どもたちも、出せる力を出せた演奏になったと思います。
我が家の息子、娘共も、ピアノや指揮者に何回かあたり、家で毎晩、妻の特訓を受けていました。今でも数少ないレパートリーの中、久しぶりに家のピアノの前に座ると、必ず中学校の時の合唱曲が流れてくるのを聞くと、これも娘の生涯に渡る財産の一つになったんだなあと感じます。
それぞれのご家庭も、そして私たち指導者もいろんなことを感じながらも、それが子どもの成長につながっていったと信じています。これからまた冬休みに向けて、勉強の山をいくつも越えていきます。どうぞ、引き続きよろしくお願いします。