第34号 4月30日

 命の大切さ

 朝、教室へ行ったら、ノンちゃんのことをもう知っている子も多く、「先生、かわいそうだね。」と言ってくれました。それだけで、涙がうるうるになってしまいます。
 子どもたちには、命は絶対にリセットできないことをお話しました。「当たり前でしょ。」なんですけど、ゲームなどで死んだら、もう一度ゲーム再開ということが根底にあるのか、命はリセットできると真剣に思っている子も少なくないという調査があります。生きているうちは、元気になる可能性もあるけれども、一度死んだものは絶対に生き返ることはないということを教えるっていうか子どもたちと確認しました。
 それと子どもたちに、命がなくなるということがどれだけ悲しいものであるかということをお話しました。「先生なんて、ノンちゃんのことをお話しているだけで、目がうるうるしてるっしょ。もし、あなたたちのお父さんお母さんがあなたたちを亡くしたらどれだけ悲しむか考えてごらん。」と。
 死には順番があります。おじいちゃん、おばあちゃん、そして、お父さん、お母さんという順序です。それは、生き物全ての鉄則です。子どもがいつか、親を弔うのは、悲しいけれどもしかたがありません。しかしながら、親が子どもの葬式を出すというのは順序違反です。辛すぎます。病気などでやむを得ない場合もあります。その一方、子どもたちの死因のトップは事故死です。子どもたちには、交通事故には絶対に気をつけること。危なすぎることは絶対にしないことを強く指導しました。
 前にも書いたことがあるかもしれませんが、この仕事をやっていると教え子の死に出会うことがあります。三つの葬儀に出ました。二件は交通事故。どちらも中学校で英語を教えていた子で、崖から海へ車ごと落ちてしまった子、前の車が停止したのに気付くのが遅れ、思いきり追突してしまった子。いずれも「エッ、あの子が、まさか。どうして!」という暴走とは縁のなさそうな子でした。もう一件は、私が渡島に来る前の最後の年に受け持った一年生の女の子。次の年だったかその次の年だったか、馬屋で遊んでいて、ロープに首をひっかけて、そのまま昏睡状態になり、そのまま意識が戻らず、何か月後かに亡くなりました。笑顔が愛くるしいとっても活発な女の子でした。
 子どもたちには、かわいそうすぎるのでこれらの話はしませんでしたが、事故は、何の前ぶれもなく突然に訪れるということです。
 家の周りで危険なところはないか、お父さん、お母さんの「気をつけて行くんだよ。」に対して、お子さんの心にその言葉が留まっているか、一緒にお風呂に入りながら、また、おふとんに入りながら、語るという時間を作るのも大切かなあと思います。事故は突然にということを言いましたが、その一方で、あとちょっと配慮があれば、一言があればというのもあろうかと思います。
 命の話から事故防止の話になってしまいましたが、どうぞ、これから始まるゴールデンウィーク、平凡でも、家族で過ごせる時間を大切にしていただけるよう期待します。