第226号 2月18日

 小学校英語の現状と課題

 研修二日目のまさにその日、兼ねてから「いつ公表になるのか?」と言われた学習指導要領案が文科省から出ました。今回は初めて案という形で出され、一か月のパブリックコメント(国民から自由に意見を受ける)を受け、それから、微調整をし、案がとれた形で正式に出る予定です。
 その中に外国語学習の授業の時間ということで、年間35時間、つまり、週一時間、英語(正確には英語を取り扱うことを原則とする)の授業を取り入れると述べられています。
 二日目の「まめ」の授業の後は、小学校英語の授業、それと午後から、中学校における英語導入の初期の二本の授業を見ました。
 英語教育特区(現行学習指導要領にしばられないで研究を進めることができる学校)の小学校(国語と社会以外は、英語で授業が行われる)の先生が、初めて体験する附属小の子どもに英語を教えるという、「飛び込み」授業が公開されました。
 頭のいい子どもたちで、いきなり英語のシャワーを浴びせられても、塾で鍛えているから、そこそここなすかと思い、参考になる授業かなーと思って見ていたところ、その予想は、大きく外れ、その先生が、私が聞いても半分ちょっとぐらいしか分からない英語を子どもたちの前で、ペラペラペラとしゃべり、「OK?」と言われた時、子どもたちの目が点になっていました。その先生は、「わからないことがあったら何でも質問しなさい。」って言っていましたが、子どもたちは、何をどう質問していいかわからない位、何もわかっていなかったのです。後で、小学校の先生が、「先生方は、この子たちが英語の塾に通っていて、もっとしゃべれるかと思ったでしょ。でも実際、塾にはあんまり通っていないんですよ。」と話をしてくれました。学校の勉強だけで、あれだけ、物事を深く考えられるんだ。こりゃまた、驚いたというわけです。
 目が点になっている子どもたちを見て、先生は、日本語を少し混ぜながら説明しました。授業のお題は、子どもたちが日本人の子どもと留学生の子どもに分かれて、お好み焼きの作り方を日本人の子が留学生の子に英語で教えるというものです。子どもたちの前には、お好み焼きの材料とホットプレートが置かれています。
 キャベツや、エッグなど子どもたちがわかりそうな単語もあり、先生の説明を聞いて、見よう見まねで奮闘する子どもたち。でも、作り方の説明が終わって、いざホットプレートに材料が置かれると、英語はどこへやらという状況でした。授業の反省では、子どもたちに英語のシャワーを浴びせて少しずつでもわからせたいということでしたが、どうもこの授業では、子どもたちは、お好み焼き作りは楽しかったけど、英語の授業としては、どうもっていうところじゃないかと私は見ました。
 私は小学校の英語で一番大切にしたいのは、「小学校で英語嫌いを作らない」ことと考えています。私は八年間中学校の英語教員をしていて、英語嫌いにせず、中学校を卒業させるということができない子がいたことは否めません。そんな悔しい思いがあるからこそ、そう思います。そういう意味で、私もこの授業は批判的に見ざるをえませんでした。
 話し合いの中で、ある先生がこんな例えをしていました。「私は音楽の先生なので、『先生、ピアノ弾けていいね。』って言われます。でもピアノを上手に弾けなくても、音楽の授業は小学校の先生ならしますよね。英語も似たようなところがあるのではないでしょうか。」と
 多くの方は、小学校英語には賛成というデータがあります。その一方学校現場では、英語に縁遠い先生、私を含めて、何をどうやっていいか不安になっている先生たちが大多数です。
 一年生には今年二回でしたが、子どもたちに英語と触れ合う機会を作ることができました。自分が今の立場で何ができるか、子どもたちに何を指導していけばいいのか、英語教員のはしくれとして、これからもいろんな研修会に出て、力をつけていきたいなあと思います。