第154号 11月12日
Mちゃんのスピーチ
毎日子どもたちが帰ってから、学校で、また、時には家に帰って、子どもたちのプリントや作文のマルつけをしています。「子どもたちの作文、だれのを載せようかなあ。」とめくっていて、ハッとさせられる一枚の作文用紙に目が留まりました。Mちゃんの作文です。
子どもたちの作文から
きょう、スピーチのとき、わたしがあたりました。ちゃんとしゃべれました。すっきりしました。スピーチがだいすきになりました。あしたのスピーチあたってほしいです。あしたからがんばります。
朝のスピーチはこのあいだも述べたように、順番ではなく、いつでもランダムに三人に話させています。今までも何回かMちゃんに当たったこともあって、その度に、私もドキッとします。やはりあの一学期の参観日を私は思い出してしまいます。それはきっと彼女にとっても同じ思いのはずです。トラウマにならないといいけどなあと思い続けていました。
その後、彼女に当たって時には話せることもありますし、時には考えこんでしまうこともありました。過日ストレスの話をしましたが、あまり、深追いすることはしませんでした。
そして、昨日のスピーチとなったわけです。当たって、ちょっとの間、時間がたちました。そうしたら、「きのう、がくどうで…」って話し始めました。そして、「質問ありませんか。」で三つの質問を受けて、拍手をもらって座りました。Mちゃんもホッとしたと思いますが、私も同じ位ホッとしていました。
一学期の参観日のあとの作文でも、今度はがんばってみるという気持ちは十分に彼女自身持っていましたし、子どもたちも「M、がんばれ。」という気持ちは同じでした。Mちゃんにとっては、すごく大きな勇気が必要だったのに違いありません。でもそれを乗り越えると、一回りも二回りも大きな自分になることができます。がんばったMちゃんに大きな拍手です。
さて、これには事後談がつきます。今日、働く自動車の作文(昨日いくつかを紹介しました)の発表をさせました。全員発表です。どんどん手を上げて、発表させました。四分の三位まではいい調子で流れていきます。あるところで、その流れがちょっと滞っていきます。今日も、そんな状態でした。私は自分の教育方針として、子どもが自分で自分の手を上げるまで、当てないで、待っています。その時です。Mちゃんの手がさっと上がったのは。ラストから結構はなれた所で、サッとあがった、Mちゃんのかわいい手。私は、ニコッとして当てました。彼女はすらすらと、自分の書いた文を読みました。しっかりとした文章です。みんなで拍手をしました。
この子は変わったなと思いました。できないことができるようになる、できないことをできるように一生懸命体を使って、心を使ってがんばるって瞬間に、出会うことができて、子どもたちの成長ってすごいなあと感じた一枚の作文でした。