第144号 11月2日

Tちゃんの逆上がり

 今日は、昨日に続いて、とってもうれしいことがありました。Tさんが逆上がりをすることができたのです。教員をやっていて二日も続けて感動的な場面に出会えるなんて、なんて自分は幸せなんだろうと思いました。
 学習発表会前から一年生は、鉄棒に取り組んでいました。私達の子どもたちに与えた課題は、前回り、足抜き、そして逆上がり。一年生は逆上がりは必須ではありませんが、小学校での鉄棒の一つの「山」ですから、できるだけがんばらせたかったという願いもあります。
 鉄棒を始めてから、子どもたちは、休み時間に鉄棒の回りに集まるようになってきました。いつも来る子、時々来る子、もう逆上がりを楽勝にやる子、足抜きにも苦労している子、子どもたちの休み時間はいろいろです。
 私は、必ず休み時間は外に出ていますので、子どもたちの練習の様子がよくわかっています。
 毎日欠かさず来るのは女子が多かったのですが、その中でもTさんを鉄棒のところに見かけなかった日は一日としてありませんでした。つまり、学校に来て外で遊べる日は全て練習していたことになります。
 最初の頃は、足が鉄棒までいくのもたいへんでした。学習発表会が終わった頃になると、両足が鉄棒まで来るようになりました。その足を私がほんのちょっと手を添えてあげると、すっと回れるまでになりました。あと、ほんのちょっとです。Tさんにも、「できるのは、明日か明後日、もうほんのちょっぴりだよ。」と足の上げ方、手の引き方のコツをアドバイスしました。この一週間位は、私にとっても、いやTさんにとってはもっともどかしい日々だったと思います。
 それを脱却したのは、昨日でした。一度自分の力で回れたそうです。私は急ぎの用事があって、それを見ることができませんでした。そこで万歳することはしないで、やっぱり担任の目の前で回るということを大切にしたかったので、「今度は先生の前で回ってみて。きっとできるから。」と話しました。
 そして今日十一月一日、私の目の前でTさんが逆上がりを見事しました。それも三回も続けて。私は、嬉しくて嬉しくて、Tさんを抱き上げていました。
 たかが逆上がり、されど逆上がり。彼女にとって、このことは、「やればできる。努力は嘘をつかない。」っていうことを自分の体で覚えたに違いありません。私が高校時代「け上がり」で学んだと似たようなことを今回の逆上がりで学んだことでしょう。そして、これからの小学校生活にも、きっとがんばるってことの糧になるに違いありません。
 さあ、もうすぐ初雪の季節。でも外で遊べなくなるまで、外遊びにお付き合いしたいと思っています。「先生、できた!」って笑顔をこれからも楽しみにしていきたいと思います。

 子どもたちの作文から

 きょう、せんせいがしょくいんしつで、そうだんしているとき、みんながそうじしているとき、ぼくは、なにしていいかわからなくて、やっとわかって、ぞうきんで、ゆかをつゆがこぼれていたからふいて、きゅうしょくとうばんだからきゅうしょくだいをふきました。ぼくはちょっとえらくなってきました。