第134号 10月22日

休み時間の風景から
〜逆上がりを一生懸命練習している子〜

 学習発表会前から何回か鉄棒に取り組んでいますが、休み時間以外でもほぼいつでもと言っていい位、鉄棒の練習をしている子たちが何人かいます。逆上がりの練習です。一年生では、ぶら下がって、足を抜ければいい程度なのですが、やっぱり逆上がりができるか出来ないかっていうのは小学校で鉄棒ができたか、できないか位、大切な通過ポイントだと思っています。
 あまりにも一生懸命、顔を真っ赤にさせて練習するので、私もずっとついて教えています。ブランコこぎも、登り棒のお手伝いもしばらくお休みです。
 両足の膝の当たりが鉄棒のところまで来ればあとは、腕でぐっと引けば上がってくるのですが、口で言ってもなかなかそうはうまくいきません。足をちょっと補助すると、クルンと上がっていくのでもうほんのちょっとなのです。「あと、三日だからね。もうちょっと、もうちょっと。」などと声をかけて、初めて自分の力で回った時の最高の笑顔を私は見るのを楽しみにしています。
 ずーっと前、教えた時は、厚い板を持って来て、それを鉄棒の前において、それを駆け上がるようにして指導して、ほとんどの子がうまくいったので、ちょっと探してこようかと思っています。
 さて、鉄棒にはちょっとこだわりがあります。実は、高校の時、鉄棒で思い切り苦しんだ記憶があります。でも苦しみをクリアした時、何物にも変えがたい自信を得たのです。
 確か高校二年の時でした。その頃東高校にこわーい体育の先生がいて、鉄棒で「け上がり」をやらされました。け上がりとは、鉄棒を持ち、後ろに少し下がり、前に一、二歩進んで、思い切り地面を足でけり、斜めに身体を振って上げ、体が行ききった所で、足を鉄棒につけ、振り子の原理で、身体が後ろに下がる瞬間、足で空中をけり、鉄棒を腰に持ってくる技です。体育が「2」だった私ですから、そんなのできるわけない技だったのです。「できなきゃ単位あげないよ。」と言っていましたが、まあ、言葉半分に聞いていました。それも半分位のクラスの仲間ができなかったのですから、そんなに落とすことできっこないとおもっていたのです。
 ところが、みんな知らないうちに練習していたんでしょうね。だんだん合格者が増えてきて、ちょっと焦りました。
 努力している様子を見てもらうことも大切と、多少パフォーマンス的な要素もあって、練習をしました。でも、上がりそうな気配すらありません。
 いよいよ秋の涼しい風が木枯らしになってきた時、できないでいるのは私含めて、ほんのわずかになりました。先生は「免除」する気持ちは全くないようです。「こりゃ、やべえなあ。」と思い、本気で練習を始めました。それでも、私にとって、オリンピックの選手がやるような「け上がり」はできそうにありません。いよいよ白いものがちらついてきます。鉄棒を握る手がかじかんできます。先生がやかんにお湯を持っ