第112号 9月27日
物を大切にするということ(続き)
ルソーという、教育学者が言いました。「子どもをだめにするのは簡単である。子どもにほしいだけ物を与えることである。」と。
たまーに、子どもたちの筆入れを見せてもらうことがあるんですが、だいぶ使って短くなった鉛筆を見つけたりすると、「この鉛筆、○○君の所に買われて、○○君に使ってもらって幸せだよねえ。」なんて言葉をかけてあげます。落し物の鉛筆に「この鉛筆、おうちに帰りたいって泣いているんじゃないかなあ。」なんてもみんなの前で話しています。
戦後数十年たって、日本は、物があり余るほど、豊かになりました。私は日本を出たことこそありませんが、ホーマックに行っても魚長に行っても、なんて豊富な品揃えなんだろうと感心してしまうことがよくあります。これが私達の生活を豊かにしていることは間違いがないのですが、人間の心も同時に豊かにしているかというと決してそうは言えない状況にありそうです。物があることが人間を駄目にしている場合さえもあるような気がします。
子どもは、子どもですから、当然物をなくします。どこまで探すでしょうか。おうちに帰って、「消しゴムなくなった。」ということをお子さんから聞いたらどうしますか。すぐ次のを与えては、駄目だと私は思います。まず、家の中を探す、そして、学校に連絡して、子どもとお父さん、お母さん、私で探す。それでもなければ、二、三日、反省の時間を取って、それから、「ものを大切にする」ってことをもう一度、親子で確認してから、新しいのを与える。そのくらいの厳しさがあっていいのではないかと思いますが、どうでしょう。
学校は、教育の場であり、家庭は躾の場でありますので、学校の先生も、親も必死になって、子どもとなくなった物を探すということは、子どもにとって、物を大切にするということを学ぶ絶好の機会だと思うんです。
自分の物を大切にするということが、人の物を大切にし、それが、親を大切にし、友だちを大切にし、そして地球を大切にするっていうことにつながる原点であるとも思います。
話はちょっと変わりますが、うちの一番下の娘が専門学校でどうしても性能の高いパソコンが必要ということになりました。今まで二台続けて、私のお下がりばかりでしたので、これは親として、思い切って調達することにしました。どうしても必要なものは高くても思い切って与えるというのも一つの物の与え方、そして物を大切にすることを教えることにもなるのかなと考えました。
皆さんのご家庭は、いかがでしょう。たとえ百円でも、何万円でも、それを買い与えることで、子どもが物を大切にすることを学ぶか、ほしいものは手に入ると感じるか、よく考えて、買い物をすることが大切ですね。
ちょっとお説教っぽいお話になってしまい、失礼しました。