第59号 7月6日

七夕に願いを込めて

 私のホームページに詳しく載せているのですが、私が大学院にいた三年前、大学の玄関前に七夕飾りを置きました。子どもだましみたいだけど、教育大の学生なるものその位の粋な心がなければと思ったからです。七日の夜、短冊とマジックを飾りの横に置いて置きました。「誰か書くかなー。」今時の若者はそんなのに興味ないだろうなあと自分の思いとは逆説的に考えていましたが。研究室で仕事をして夜の九時頃行ってみると、置いてあった短冊は全部の願い事が書かれ、笹の葉に飾りつけられていました。「教採(教員採用試験)に受かりますように。」などというのもあり、大学生の心も結構ピュアだなあと思いました。
 私の実家は函館の柏木町だったので、毎年七夕は回りました。今のように、親と一緒でなければだめということもありませんでしたが、暗黙のルールで八時頃までというのがありました。浴衣を着て、ちょうちんを持って回ったものでした。もちろん、もらうのはローソク。おかしなどはわずかです。もらったローソクでちょうちんを灯して、柏木町・乃木町界隈を歩いたものです。私の親の話によると子どもが回ってこなくなって久しいようです。これも少子化の影響でしょうか。寂しいものがあります。
 さて、大野でもこの風習は伝わっているそうですね。今月と来月の七日には夜空に子どもたちの「竹に短冊…」の歌が響き渡りそうです。親が同伴が原則のようですが、日本の伝統行事、地域の行事には私は積極的に子どもたちを参加させてほしいと思っています。子どもたちにとっても地域の知らないおじさん、おばさんと話すいい機会です。また、小さい子と話す機会がめったになくなった子どもが大きくなってしまった家庭では、小さい子の訪問はとてもうれしいはずです。一緒にぞろぞろついて回るだろう保護者の方にとっても、同じ地域の方と言葉を交わすいい機会ではないかなあと思います。孤独を愛するって吹聴している人もいますが、人と人の心と心が触れ合っている時が本当に楽しいときだと私は信じています。どうか、織姫と彦星の年に一度の再会を地上から望める天気になることを願っています。